社会心理学入門 –心と社会の相互構成–

担当:伊藤篤希

概要

人は他者との関わりながら、日々を生きています。その過程で個人の考えや行動は他者からの影響を受け、また同時に他者の考えや行動に影響を与えます。このような社会的存在としての人の心の性質を、個人・集団・社会といった様々なレベルにわたって研究しているのが、社会心理学という学問領域です。

 

本講義では、同調実験を始めとする古典的研究を紹介しながら、社会心理学とはどのような学問領域であるのかを概観します。また、社会心理学における重要なキーワードである「心と社会の相互構成」について考えることを通して、人の社会性とは何かについても検討したいと思います。

講義を終えて

本講義では、1) 社会心理学のトピックを幅広く紹介し、受講生の方々にご自身の関心に近いトピックを見つけていただく機会を提供すること、2) 社会心理学の数多あるトピックを束ねる統合的な視点として進化論的な見方を提示することの2つを目標として授業を組み立てました。

受講生の方々のコメントや講義後の検討会では、主に情報量の多さとトピック間の関係の不明瞭さについてご指摘をいただきました。本講義では社会的影響過程と社会的交換、社会的認知の3つのトピックを扱いましたが、それぞれが独立したトピックとして研究されてきたこともあり、うまく関連付けてお話しすることができませんでした。また、この部分を解決する統合的枠組みとして進化論的な見方を提示するように努めたのですが、十分に分かりやすい形でお伝えすることができなかったと反省しております。

上述の2つの目標は、それぞれを単体で実現するだけでも情報量が多く、内容的にもハードな講義になってしまうものでした。しかし、そこを無理に組み合わせて1つの講義としてまとめようとしたがために、いずれの目標も中途半端になってしまったように思います。以上の反省およびその他の点についていただいたコメントをもとに、次回はより良い講義を提供できるように頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

アシスタントコメント

心理学と言えば、フロイトやユングのような個人の心を研究する印象があった。しかし、今回の講義で扱った社会心理学は、"集団が心へ与える作用"を調べる研究であり、私は心理学に新しい視点を取り入れた面白い研究だと感じた。講義については、実験や実験結果・結論をスライドで端的に説明しており、声も聞きやすい。一方で、検討会で述べられた「スライド同士の繋がり」であるが、スライド間の関係性が分かるような「まとめスライド」を作るなどの工夫を加えると、講義内容がより分かりやすくなり、良い授業になるのではないかと思う。また、デリケートな話題に触れる際には、言葉の使い方に注意が必要なことも授業を行う上で大事であると思う。

伊縫(解析学)