間(ま)とはいったい何か

ロレダナ スコルシ(庭園論・美学)

概要

 

間に合う、間抜け、間違いなど、間(ま)が含まれる表現を使うことが頻繁にあると思いますが、間(ま)は何かと聞かれたら説明できますか。

間(あいだ)、間(かん)、間(けん)など、同じ漢字を書いても、文脈によって違う読み方をして、違う意味で使われることがあります。

 

日常会話で使われる一方で、間(ま)は芸能でも活躍しています。間(ま)と言えば、能をイメージする人が多いでしょう。

建築の間(ま)、能の間(ま)、舞踊の間(ま)、お茶の間(ま)、絵画の間(ま)など、実は芸能の間も様々です。日本庭園においても間(ま)が多様な様式であらわれています。庭園を見に行く方は、それらを無意識に体験します。

 

この授業では、日本庭園における様々な間(ま)を分析し、間(ま)の多義性を具体的に認識してもらったうえで、様々な間(ま)の意味をささえる共通のベースを解説します。

 

間(ま)は日本的なもので、日本人でない方にわかりがたいと言われています。しかし、現在グローバル化した世界の中で、日本的といわれるものこそ、それを日常に体験できない人に紹介できる頭の柔軟性、説明力が重要なのではないでしょうか。

皆さんが無意識に使う間(ま)の意味を言葉にしようと思ったら、どのポイントをおさえれば重要なのかを一緒に考えてみませんか。

講義を終えて

二つ目の講義では間(ま)をテーマにしました。空間的な間が中心でしたが、人間の間(ま)の話もしました。

その話の延長線で、「空気が読める人と読めない人」などのような、日本では普段では取り扱いづらい話題にも触れたので、あまり反応がもらえないのではないかと心配していました。

 

この模擬講義をきっかけに私はハンドアウトの使い方が下手だということに気がつきました。おそらく、ハンドアウトに口頭で言うことを補う情報を書けばいいと、なんとなく思っていたのだと思いますが、皆さんのご意見を聞いて、ハンドアウトの他の三つの役割に気づきました。

 

・講義中に先生がスライドで流した情報を学生が家に帰ったら再確認できること

・授業の進み方をはっきりと伝え、それを授業中に学生がいつでも確認できるようにすること

・授業にメリハリをつけること。学生にずっとスライドを見せるより、適宜ハンドアウトにしかない情報を確認してもらうこと

 

今度は以上の役割を意識して、ハンドアウトを使いたいと思います。

アシスタントコメント

前回に比べ、スライドが見やすいという意見がしばしば見られた。 

他にも、講義のテーマが興味深い、導入部分や研究の動機の説明が良かった、参考文献が多くてよいという意見が見られた。

一方で、質問の返答の対応を考える必要がある、漠然とした質問は返答しづらい、質問の返答をホワイトボードに書き出す、といった受講者に対する質問の投げかけ方に関する意見や改善策が多く見られた。

 

また、前回の講義ではあまり見られなかった「文字で説明する」講義が見られ、それに対する意見がしばしば見られた。

文字に色をつける、抽象的な説明には具体例の説明も必要、字が小さいなどである。 

他にも、引用集・講演に使った画像をハンドアウトに載せる、受講者が振り返るという観点からハンドアウトを作る、といったハンドアウトに関する改善点の意見も見られた。

 

講義内容がとても新鮮で面白かったため、講義を改善することでさらに面白い講義になるのではないかと個人的に思う。

 

伊縫(数学)