第4回 構造と公理化

担当:須田智晴

概要

「無限」とは、誰にでも馴染みのある概念である。

それが何かははっきりわからなくても、何かしらかのイメージは持っているのではないだろうか。

しかし、この概念は決して簡単なものではなく、時に不合理を生む。

無限にまつわるパラドックスは数多く、それはどれも一筋縄ではいかない。

 

さて、数学と無限とは密接に関わっている。

例えば自然数全体という対象を考えた瞬間、私達は無限を相手にしていることになる。

それでは、無限による不合理を回避するため、数学はどのような方法を用いているのか?

それを知るにはまず数学の方法論を把握しておく必要がある。

 

そこで今回は、公理的方法という考え方を紹介する。

これは大まかに言って、公理により考察の対象を規定するという方法である。

そして、この方法論こそが数学を数学たらしめていると言っても過言ではない。

数学とは公理により定まる構造を対象とした学問なのだ。

紹介する様々な具体例を通じて、このことを実感していただければと思う。

講義を終えて

 初回は数学の方法論についてのお話をしましたが、いかがだったでしょうか。大学以上の数学は高校までの数学とは一味違うということを感じていただけたなら幸いです。

 また、最後に紹介した自然数の公理化については説明不足だったため、理解できず難しいと思った方も多かったかもしれません。その点については申し訳ありません。

 しかし少なくとも、日頃よく知っている簡単な対象でも、きちんと定式化するのはかなりの大仕事になるということは伝わったでしょうか。なお、今回配布した演習問題の答えは次回に配る予定です。

 

 さて、次回は無限をテーマに講義を行います。この概念にまつわるパラドックスもいくつか紹介する予定ですので、お楽しみに。